2017 CJ DHI 田沢湖レースレポート

「2017 JCF Coupe du Japon MTB 秋田・田沢湖DHI第3戦 」

九州時代どうしても遠くて、参加出来なかった秋田の田沢湖のレースに、ようやく参加する事が出来ました。

2007年の全日本選手権では、エントリーもして飛行機のチケットを探すところまでいったのですが、最終的に断念。2008年を最後に開催されていなかったので、今シーズン開催されると知って、とても楽しみにしていたのです。

ただ、レース自体はスタート直後から「怖い」と言う感情に支配され、その恐怖心や、そんな自分を情けなく思う気持ちにぐちゃぐちゃになりながら、なんとかゴールした、と言う、受け入れ難いものでした。

7月14日金曜日

今回は月曜日がハッピーマンデーの海の日なので、ダウンヒルは何時もの土曜日ではなく、日曜日が決勝となっています。
木曜日の仕事を終わらせて、日付けが変わった頃、高速道路へ。
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サービスエリアで仮眠を取りながら北上し、約10時間、金曜日のお昼前に会場の田沢湖スキー場に到着しました。

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午後からは、搬送のトラックが動き、コースを試走することができます。急いで準備を整え、コースイン。思った以上に路面が変化するコースを確認しながら、3本走りました。

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公式な練習は明日からですが、実は天気予報がトンデモないのです。明日までは快晴。決勝当日の明後日はドシャ降りという予報なのです。

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つまり、明日練習した路面が、決勝の時はどうなっているか、予想がつかないのです。

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メンテナンスを済ませ、山を下って田沢湖駅前で夕食。スキー場直ぐ下の水澤温泉にゆっくりと浸かって、スキー場駐車場にてトムさんの中で就寝です。

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7月15日土曜日

昼間はうだる様に暑いのですが、日が沈むと過ごしやすくなります。夜、駐車場にて夜空を見上げながら、色々な事を話すのが、遠征の楽しみだったりします。昨夜の夜空は最高でした。

今日も朝から文句無しの快晴。

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「ホントに降るのかなぁ」

なんて、考えてしまいますが、今日出来る事をしっかりやるしか有りません。

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乾燥して、埃が舞うコースを、少しずつペースを上げて行きます。明日、雨が降ったらどんな風に路面が変わるのか、想像しながらラインを考えます。

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このコースの降雨時の特徴の一つとして、水溜りが出来やすいそうです。しかも、タイヤをとられる様な深さになるらしいのです。

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水溜り自体は、明日出来てみないとなんとも言えませんが、出来そうな路面に、複数のラインを見つけておくのです。実際には、そんなに上手く走れませんが、見つけておく事で、心の引き出しを増やしてあげるのです。

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コースの中間部分には、大きなテーブルトップジャンプが2つ、その手前には3連のジャンプが並びます。縦方向の動きがずっと課題の館兄ですが、最近少しずつジャンプを攻略出来る様になってきました。

3連ジャンプは、1つずつ飛ぶしかないのですが、テーブルトップジャンプは上手く飛べそうな感じ。2つ目はほぼ飛び切れて来ました。

勢いに乗って、1つ目のテーブルトップを踏み切り、ペダルを引き上げてみたら、モノの見事に右足の固定が外れ、空中でバランスを崩してしまいました。右の膝から地面に落ちたのですが、バックサイドに届いていたので、上手く滑ってくれて、全く無傷。助かりました。

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「大丈夫?」

後ろを走っていた伊藤さんが心配して止まってくれます。最近に伊藤さんの前で派手な転倒をする事が多いので、ちょっと気をつけないといけないですね。

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本当はスポーツセンターに部屋を確保して居たのですが、食事もお風呂も悪く無いので、住み慣れたトムさんで寝ることにして、明日の天気を暗示する様な曇った夜空の下で、涼みながら話が弾みます。

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7月16日(日曜日)

うっすらと明るくなってきた頃、雷が鳴り始めました。

「あ〜〜」

って、思っていると、ホントにバケツの底が抜けた様なドシャ降りの雨。向かいのジローちゃんのテントの屋根に、みるみる水がたまっていきます。

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ドシャ降りの中に出て行って、下から押し上げて水を流します。でも、直ぐに水がいっぱいに。
3回まで水を抜きましたけど、

「ジローちゃん、ごめん」

嫌な音と共に、ジローちゃんのテントは潰れました。

まるで、戦争映画でも見ている様に、稲光りとともに辺りでテントが潰れていきます。

結局、このまま眠れずに起き出しました。

雨の様子を見ながら、トムさんのサイドオーニングを設置して、バイクの準備を始めます。

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田沢湖はゴンドラやリフトでは無くて、トラックとマイクロバスによる搬送なので、この天候の中でも試走のための搬送が始まりました。

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もうすっかり雨モードに切り替えて、覚悟を決めてコースイン。

なんとトップだったので、それなりに走りちゃったので、急いでもう一度上がり、2本目の試走。スタート地点では、ものすごい風が吹き始めて、スタートするのを躊躇するほど。予想通り路面が荒れ始めて、ライン取りが重要になりそうです。

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3本目の試走の為の搬送の列に並んだのですが、残念ながら時間に間に合いそうに無いので、諦めてブースに戻りました。

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結果的にはコレも足を引っ張る要因になってしまいました。

悪天候の中、サポートしてくれるみっちゃんも大変そうですが、ここはどっぷり手伝ってもらって予選の準備をします。

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「この天候なら、一発決勝の可能性が有るよ」

以前、一里野のレースが悪天候で、予選の結果がそのまま決勝になった記憶を元に、伝えてくれます。

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さらに天候が荒れて来て、やはり一発決勝になりました。あまりにひどいので、XCOの試走が中止なった程です。

スタート地点には強い風が吹き続けていましたが、一番スタートの清水選手がスタートゲートで待機している時に突風が吹き、テントが破損。危うく下敷きになるところでした。

テントがギリギリ持ちこたえてくれたので、大丈夫でしたが、スタッフが人力で支えるテントの下をスタートして行きました。

「凄い精神力だなぁ」

と、思ってましたが、まだまだ自分のことで精一杯です。

待ってるテントもヤバイ感じですが、こんな状況なので、待ち時間が長く感じます。冷えることは予想できたので、館兄はしっかり着込んで来ましたが、若い子達は薄着すぎて震えています。この辺は経験の差が出るようです。

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名前を呼ばれてスタートのテントに移動します。さっきの突風でひん曲がったテントの足が、補強されて踏ん張っています。

何時ものルーティーンでスタート台に上がり、バイクに跨ります。

何時も通りにスタートゲートを飛び出しました。

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飛び出しましたが、直後に

「うわ!怖い、走れない!」

と言う感情に支配されていまいました。

なぜだかわかりません。荒れる天候なのか、さらに変わってしまった路面なのか、とにかく、怖かった。

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by Ebiのmtb写真館

走りながら、情けなくなりました。今迄、レースを走って来て、こんな気持ちになったのは初めてです。どうして良いか、わかりませんでした。

それでも、最後まで諦めずに走ろうと思い直しましたが、後半で転倒。気持ちが折れてしまいました。

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by Ebiのmtb写真館

30人しか参加していないエリートクラスですから、10位台ではゴール出来るかも、なんて考えていましたが、結果は27位。

散々な結果に、涙すら出て来ませんでした。どうして良いかわからないって、こんな感じなんだなって、他人事のように思いながら帰路につきました。

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協力(敬称略)
MARSH 有限会社マーシュ:自転車に関する全てのサポート
takebow-tune Bikeworks:サスペンションサポート
Yuris:フレーム及び部品サポート
重力技研 /gravitylab:技術サポート
drop8:ウエアサポート

BodyArchitect【ボディーアーキテクト】:フィジカルサポート



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ABOUTこの記事をかいた人

館兄 (たちあに)

自転車乗り。  MTBダウンヒル&エンデューロアスリート。 MTBダウンヒル世界選手権60歳クラスで世界一になることを目標に、日々を過ごす。その後、80歳までチャレンジすることを企んでいる。 2014年エンデューロワールドシリーズ40+クラス:総合13位。 2014年MTB全日本選手権ダウンヒル40代クラス全日本チャンピオン。 日本人唯一のSPINNING® マスターインストラクター。 鼻緒のトレーナーとして知られる。 焚き火評論家